宮沢賢治の短編小説「よだかの星」より。醜く嫌われていた鳥のよだかは、生きるために虫たちの命を奪っている自身を嫌悪し、灼け死んでもいいから太陽のもとに行きたいと願うも叶わず、星々のもとに行こうとしても叶わず、最後は命を灯すように夜空を飛び続け、よだかの星になる。
そしてよだかの星は
燃えつづけました。
もうよだかは落ちているのか、のぼっているのか、さかさになっているのか、上を向いているのかも、わかりませんでした。ただこころもちはやすらかに、その血のついた大きなくちばしは、横にまがってはいましたが、たしかに少しわらっておりました。
それからしばらくたってよだかははっきりまなこをひらきました。そして自分のからだがいま燐の火のような青い美しい光になって、しずかに燃えているのを見ました。すぐとなりは、カシオピア座でした。天の川の青じろいひかりが、すぐうしろになっていました。
そしてよだかの星は燃えつづけました。いつまでもいつまでも燃えつづけました。今でもまだ燃えています。(宮沢賢治「よだかの星」より)
宮沢賢治(1896 – 1933) 岩手県花巻市出身の詩人、童話作家。