日本三大随筆ともされる、鴨長明の「方丈記」冒頭。ゆく川の流れはいつまでも絶えることがなく、しかし川の水は変わりゆく。水の泡は、生まれ、消えながら、川そのものは、そこに流れ続ける。その様に、この世の無常観を見る。
ゆく河の流れは絶えずして、
しかももとの水にあらず。
ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。淀みに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。世の中にある人とすみかと、またかくのごとし。
たましきの都のうちに、棟を並べ、甍を争へる、高き、卑しき、人のすまひは、世々を経て尽きせぬものなれど、これをまことかと尋ぬれば、昔ありし家はまれなり。あるいは去年焼けて今年作れり。あるいは大家滅びて小家となる。住む人もこれに同じ。
所も変はらず、人も多かれど、古見し人は、二、三十人が中に、わづかにひとりふたりなり。朝に死に、夕べに生まるるならひ、ただ水の泡にぞ似たりける。(鴨長明「方丈記」より)
鴨長明 Kamo no Chomei(1155 – 1216)平安時代末期から鎌倉時代にかけての歌人。